sticky vision Ltd. | 海外子会社の中核を担う現地人材が突然退職!日本企業が陥りがちな現地子会社マネジメントの「11の間違い」
1050
post-template-default,single,single-post,postid-1050,single-format-standard,qode-quick-links-1.0,ajax_fade,page_not_loaded,,side_area_uncovered_from_content,qode-child-theme-ver-1.0.0,qode-theme-ver-11.1,qode-theme-bridge,wpb-js-composer js-comp-ver-5.1.1,vc_responsive

海外子会社の中核を担う現地人材が突然退職!日本企業が陥りがちな現地子会社マネジメントの「11の間違い」

海外子会社の中核を担う現地人材が突然退職!日本企業が陥りがちな現地子会社マネジメントの「11の間違い」

ご相談内容

ご相談者
東南アジアの某国に子会社を設立して3年目になります。先日、現地子会社の取締役候補として期待していた現地採用の人材が、突然退職を申し出てきました。どうやら同業の現地企業へ転職するようです。今後このような中核人材の流出を防ぐために、注意すべきことは何でしょうか?

Thinking outside the box…

可能な限り、退職者本人から退職理由を聞き出すエグジットインタビュー(退職者インタビュー)を行う

現地法人の誤ったマネジメントによって生じている「隠された退職理由」がないかを探る

能力と意欲の高い現地の人材を惹きつける環境をつくるために、退職者の「出戻り歓迎」を含む、あらゆる手段を講じる

 

誠意を持って「退職理由」を聞き出す

会社を経営している限り、退職者が出てくることは避けられませんが、従業員がなぜ退職を決意したのかを知り、真摯な態度で受け止めることで、その後の事業運営を改善するためのヒントが得られます。

退職を申し出てきた従業員を慰留することが難しければ(あるいは、会社の方針が「慰留しない」ことであったとしても)、従業員にはエグジットインタビュー(退職前のインタビュー)をお願いして、なぜ辞めることを決意したのか?を丁寧にヒアリングすることが理想的です。
インタビューを受けるかどうかは、退職する従業員の意志で決めてもらうようにしてください。

もし経験豊富な現地採用の人事担当者がいるなら、エグジットインタビューを任せて、現地人の視点から忌憚のない意見を聞き出すように試みてください。
そのような人材がいなければ、日本人駐在員が聞き手を務めます。このときの人選は、退職者とは日常業務で直接の関わり(例えば、上司・部下の関係)がなかった、なるべく役職が高い人が行うといいでしょう。
直接の上司であった日本人駐在員がインタビューの聞き手になることはお勧めできません。

もちろん、聞き手が現地採用の人事担当者や役職の高い日本人駐在員であっても、本当の退職理由を話すとは限りません。会社に対する不信感が高ければ、エグジットインタビューを拒否する可能性もあります。

インタビューに応対する態度や、発する言葉から、非言語のメッセージを読み取るよう、最善の努力を行ってください。
退職者から聞き取った内容は書面に残し、今後の現地法人マネジメントの参考としてください。このとき、書面に残す内容はできるだけ客観的なものに留め、インタビューを行う人の主観が入らないよう、留意してください。

 

退職者がめったに口にしない、日系企業によくある「裏」退職理由とは?

廣世
さらに、エグジットインタビューとは別に、その従業員が辞めた理由につながったかもしれない、現地法人の状況を探るべきです。
廣世
多くの場合、退職者が実際に口にする退職理由とは別に、隠された理由があるからです。
ご相談者
日本人が日本の会社を辞めるときも同じですね。日本企業の現地法人を辞めていく現地社員には、例えばどんな「隠された理由」があるんでしょうか?
廣世
もしかすると、本社の皆様がお耳に入れたくないような内容もあるかもしれませんが・・・いくつかの例を、それぞれの対策と共に挙げてみますと・・・

 

スタッフレベル、マネージャーレベルに共通する「隠れた」退職理由

1. 給料が低い

もっとも分かりやすい理由の一つですが、「低い」と一口にいっても、現地相場と比べて低い、同業他社と比較して低い、同僚と比較して低いなど、様々なパターンがあります。
求人市場の需給関係の変化によって現地給与の水準が上がっていないか、社内の給与制度に歪みが生じていないかなどを調べる必要があります。
なお、この理由に基づく退職の申し出は、給料を上げてもらいたいがためのブラフ(はったり)の場合もあるので、注意が必要です。

 

2. 職務・職責の範囲が明確に決められていない

海外での雇用においては、職責が曖昧になりがちな日本企業とは違い、従業員ごとの詳細な職務内容が明文化されることが一般的です。
設立直後の現地法人では起こりがちですが、職務内容説明書(Job Description)が無かったり、存在していても記述が曖昧であったりして、従業員が自分自身の本来の役割を超えた仕事をやらされているという不満が生じることがあります。
さらに、職務内容説明書の最後に付け加えられることが多い”Other duties as assigned”(その他与えられた職務)に該当する仕事が多すぎる場合にも、同様の不満が生じがちです。
各従業員・職種ごとに適切な職務内容説明書が存在し、また業務の必要性に応じて適切に更新されているかどうかを調べる必要があります。

 

3. 業務の指示が不明確であったり、計画性に欠ける

職務内容説明書があっても、日常の仕事の指示において、「いつまでに」「何を」行えばいいのかがハッキリしていないときにも、従業員が強いストレスを感じます。
従業員に対して、計画性に欠ける仕事の与え方をしてしまい、すべてが「緊急」の扱いになってしまうようなときも、それぞれの仕事の優先順位が分からないために、過度のストレスを与えてしまいます。
さらに、指示を行う管理職自身が「どうやればできるのか」が分からない仕事を丸投げされることも、従業員のストレスの原因になります。
現地法人の管理職やリーダー格の社員から日常どのような指示がなされているかを調べる必要があります。

 

4. 日本人上司が信頼(理解)できない

この理由には、人間対人間のコミュニケーション不足に基づくものと、日本人上司の人格に基づくものの2種類があります。
日本人上司が仕事に関する話ばかりをしていて人間的な一面を見せないとき、現地のスタッフは不安を覚え、時には薄気味悪さすら感じます。
また、日本人上司が独善的・高圧的であったり、非合理的な理由を押し付けてきたり、チームプレイを評価しないような管理スタイルであるときにも、現地スタッフに恐怖と不満を与えます。
いずれのケースでも最終的には日本人上司と、そのような上司を放置している会社に対する強い不信感を生み出します。
コミュニケーション能力や素行に問題のある日本人駐在員がいないかどうか、現地スタッフへのヒアリングや360度評価などを通じて、定期的にチェックを行うべきです。

 

5. キャリアパスがない

どんなに仕事の成果を出しても、誠心誠意自らの職務に打ち込んでも、より大きな責任を伴う地位(つまり、より高い社会的地位)に昇格できないとき、現地の社員は強い不満を抱きます。
同業他社が卓越したパフォーマンスを上げた従業員を優遇していると、その不満はさらに強まります。
現地法人の要職を日本人駐在員だけで占めていないかどうか、優れた成果を上げた現地社員を昇格させる組織制度が作られているか、また状況に応じて適切に組織変更が行われているかどうかを定期的に確認する必要があります。

 

6. 能力が伸ばせない

現地法人が人材育成に消極的であったり、日常業務に単純作業が多すぎたりすると、成長の意欲が強い現地社員ほど、その仕事と自分自身の将来性に不安を抱きます。
失敗を恐れるあまりに新しいことに挑戦しない、保守的な文化を持つ会社においても、成長意識の強い社員が不満を感じます。
意欲の高い社員に活躍の場や挑戦する機会を与えられているかどうか、各従業員の職務内容説明書を参照しながら、定期的にチェックする必要があります。また、少なくとも年1回は全ての従業員との個別ミーティングを行って、各人の意欲や能力を把握しておくことも重要です。

 

7. 貢献が認められない

仕事で成果を出しても評価されない、どれだけ頑張っても同僚と同じ扱いを受ける、上司が感謝を示さないといった状況も、現地社員に不安を抱かせます。
多くの日本企業のように定期的な人事考課を行っていたとしても、日常の業務においても折にふれ貢献を認めることで、従業員のモチベーションは大きく上がります。
しかし、上手くホメることが苦手な日本人上司がいたり、貢献を認めるよりも失敗や改善点ばかりを指摘するような文化の会社では、現地社員の労働意欲が削がれ、より働き甲斐のある他の企業へ人材が流出しやすくなります。
従業員の意識調査などを通じて、モチベーションを阻害するような状況が生じていないかを確認する必要があります。

 

8. 家族や自分のための時間がない・融通が利かない

仕事が全てに優先する日本人会社員とは違い、海外では仕事と個人の生活の間に明確な一線を引く考え方が一般的です。
家族を持つ従業員を、家族都合による遅刻・早退を認めない、そのような遅刻・早退がマイナス評価になる、勤務時間が長すぎる、計画的に有給休暇が取れないといった状況に置くと、その従業員は「仕事と家族に対する責任が両立できない」と考え、転職を考えるようになります。
また、独身の従業員であっても、仕事の後の社会的な関わりや、専門知識を深めるための自己投資(勉強)に使う時間がなくなるほどに仕事に拘束させると、「会社のために自分の人生を犠牲にするわけにはいかない」と考え、転職を考えるキッカケになり得ます。
与えられた職責を果たしている限りにおいて、過度な超過勤務をさせていないか、また勤務時間に相応の柔軟性を与えているかという点をチェックしておくべきです。

 

ご相談者
ふー。たくさんありますね。
廣世
まだまだ、現地法人のマネージャー向けにも、チェックしておくべきことがありますよ。

 

マネージャーレベルの「隠れた」退職理由

9. 意思決定に関わることができない

現地法人の重要な意思決定がすべて日本人だけで決められている、会社運営に関する情報が隠蔽されているといった状況は、意欲と能力の高い現地マネージャーに強い不信感を抱かせます。
日本企業の現地法人には、本社における全社戦略や、現地相場よりもはるかに高い駐在員の給料・待遇など、知らせる必要がないこと・隠しておくべきことがあるのも事実ですが、現地の優秀なマネージャーのモチベーションを下げるような状況を作り出すことは避けるべきです。

 

10. 重要な仕事を任せてもらえない

日本人駐在員が重要な仕事を抱え込む、日本人駐在員から信頼してもらえない、日本人駐在員がマネージャーを含む現地社員への不信感を露わにしている、現地マネージャークラスに対してもマイクロマネジメントしてくるなど、現地採用の人材への権限移譲を妨げるような企業文化は、現地採用の優秀な人材の労働意欲を削ぎます。

 

11. 現地の状況を無視した意思決定に納得できない

現地法人の運営についてほとんど知らない日本の本社に、現地法人に関するすべての意思決定を行う権限が集中しているという状況も、しばしば優秀な現地採用マネージャーに不満を抱かせます。
またこのような不満は、現地の日本人駐在員が「日本の本社の決めたことだから、あれこれ言わずに従え」という言動を示しているときにも起こりがちです。
現地法人の視点が、海外子会社を含む全社の意思決定において必ずしも正しいとは限りませんが、現地法人の言い分にしっかりと耳を傾けるという姿勢は折にふれ示しておくべきです。

 

ご相談者
うーん、マネージャーレベルになると、一段と重い問題になりますね。
廣世
優秀な人材ほど、会社運営のカラクリも心得ていますからね。適当に言いくるめようとする態度も、しっかり見透かされます。
ご相談者
現地法人の実態調査は、信頼できる現地社員を選ぶのがいいですか?
廣世
人選が全てと言ってもいいですね。日本人駐在員は日本人の視点・主観が入りがちです。現地採用の人事担当者は有力な候補ですが、人事担当者は人事担当者の視点・主観がありますし。もしすでに、人事担当者と日本人駐在員との関係がギクシャクしていたりすると、目も当てられません。
ご相談者
そうなると、客観的な立場からモノゴトを見てくれる、外部の人にお願いするべきか・・・
廣世
弊社でもお受けできますので、ご検討ください。

 

「出戻り歓迎」のメリットとは?

廣世
もう一つ、今回退職する従業員を含めて、退職していく人たち全員に「あなたさえよかったら、いつでも戻ってきてください」と伝えておくことも効果的ですよ。もちろん、退職者が「何があっても絶対に戻りたくない」と言っている場合は別ですが。
ご相談者
えっ!ちょっと受け入れにくいけど、どう効果的なの?
廣世
実際に戻ってきてくれる人たちはごく一部かもしれませんが、もし戻ってきてくれれば、他社での待遇とか人事制度を聞き出せますから。法的には、他社に雇用された時に締結した守秘義務契約で口止めされている可能性はありますが、概要くらいは分かります。
ご相談者
良い会社にするためには、あらゆる手段を使うということか。しっかりと腰を据えてやらないといけないなぁ。
廣世
能力と意欲の高い現地の人材を惹きつける環境をつくるために費やした労力は、必ず報われますよ。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます!
ご感想・ご質問、ご相談など、お気軽にお寄せください。

お名前(必須) / Your Name (Required)

メールアドレス(必須) / Your email address (Required)

件名(必須) / Subject (Required)

お問い合わせ内容 / Your Message